仏壇

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コロナ禍ではあるが、密と他人との接触を極力避けながら、義父母の地元にあたる地方にやってきた。

義父が育った家と土地、今は誰も住んでいないので、年に数回は行って諸々整備しなければすぐに廃屋のようになってしまう。

 

古い住居の掃除や草むしりをしながら、この場所で代々暮らしてきた人たちのことを想う。

結婚した当初は、自分に全然関係のない場所を守るということや、その土地の文化や習慣が入ってくることが嫌だった。

18で上京し、アルバイトをし、大学を出、都心で働いて作ってきた自分自身が、かなりのペースで侵害されている気がしていた。

今でもその気分が完全に抜け切ったわけではないのだが、それでもこの土地に息づく歴史や風土を少し愛せるようになってきた。

 

この家の仏間に、先祖代々の写真がかけてある。

誰にも会ったことはない。

しかし、表情に性格が現れる。

認知症に片脚を突っ込みかけている義父に表出している全てがそこにある気がする。

 

結婚しなければ、こんなところ、知らなくてよかった。

結婚しなければ、知らないままだった。

 

この家は、私の家と、あまりにも異なる。

私は想像力を引っ張り出してきて、仏壇に手を合わせる。

それが、今の私の仕事なのだろうか。